
心雑音
HEART MURMUR
概要
心雑音は、血液が心臓内や血管を流れる音が通常と異なる状態「乱流」によって生じます。乱流を生じさせる原因として弁が狭くなる(狭窄)または閉まりきらない(閉鎖不全)弁膜症や生まれつき(先天性)心臓の壁に孔が空いている(心室中隔欠損など)などの構造的異常、あるいは貧血や甲状腺機能亢進症などで心拍出量が増える生理的要因でも生じます。日本循環器学会ガイドラインでは、放置すると心不全などに進展する恐れがある場合に早期の超音波検査を推奨しています。原因によっては治療不要な場合もありますが、明確な診断のため血液検査や胸部X線検査を含む適切な検査が重要です。心雑音があっても必ずしも病気があるわけではありませんが、専門医の診察を受けることで安心できるでしょう。
心雑音を生じる原因
- 機能性心雑音:心臓や血管に器質的(構造的)な異常がないにもかかわらず、生理的な変化によって血液の流れが一時的に増えたり、流れ方が変わったりして聞こえる心雑音のことです。たとえば、運動や発熱などで心拍数が上がると、血液の流れが速くなって音が大きく聞こえる場合があります。小児や若年者では成長過程でよく認められますが、心エコ-検査で弁や心筋に異常が見つからないかぎり、多くは健康な状態です。
- 弁膜症:大動脈弁、僧帽弁、三尖弁などの狭窄や閉鎖不全
- 心室中隔欠損症:心室と右心室の間に孔(あな)があり、血液が混ざってしまう先天性の病気です。
- 心房中隔欠損症:左心房と右心房の間の壁に孔があり、血液が混ざってしまう先天性の病気です。
- 閉塞性肥大型心筋症:心臓の壁が極端に厚くなることで、血液の通り道が狭くなり雑音が生じます。
- 貧血や甲状腺機能亢進症など:心臓に構造的異常がなくても、血液量の増加や血液が薄い状態(貧血)などで血流音が大きくなり雑音が聞こえる場合があります。