ブルガダ症候群

BRUGADA SYNDROME

概要

ブルガダ症候群は、比較的稀な病気ですが突然死の原因となる心室頻拍や心室細動等の不整脈を生じる危険性の高い病気です。いわゆる「ポックリ病」の原因とされています。心電図検査がブルガダ症候群の診断に必須であり、ブルガダ症候群に似た心電図変化(ブルガダ型心電図)を健診で指摘されることもあります。単なるブルガダ型に似ている心電図と真のブルガダ症候群との鑑別が重要であり循環器専門医による診療が必要です。

診療方針

当クリニックでは日本循環器学会、欧米循環器系ガイドライン最新版、およびオンライン医学テキスト「Up to Date」 に準拠します。

ガイドライン最新版(2022年4月時点)
  • 日本循環器学会/日本不整脈心電学会合同 2022年改訂版 不整脈の診断とリスク評価に関するガイドライン
  • 日本循環器学会/日本不整脈心電学会合同 不整脈薬物治療ガイドライン(2020年改訂版)
  • 日本循環器学会/日本不整脈心電学会合同 不整脈非薬物治療ガイドライン(2018年改訂版)
  • 2017 AHA/ACC/HRS Guideline for Management of Patients With Ventricular Arrhythmias and the Prevention of Sudden Cardiac Death

初診時の主な診療内容

1. 身長・体重測定、院内血圧測定(2回測って平均値を取ります)

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問診と診察 現在および過去の健康問題や現在の症状に関して詳細なお話を伺い、心臓の聴診などの診察を行います。
検査 心電図、ABI、胸部レントゲン、心エコー、24時間ホルター心電図検査、血液生化学検査、尿検査などを行います。

2. 診察と検査結果に基づき診断または状態の評価を行います。

診断に当たって重要なことは、以下になります。

  1. ブルガダ症候群の診断基準に従って診断をつけること、もしくはブルガダ症候群を否定すること。
  2. 突然死を招くような重篤な不整脈(心室頻拍や心室細動など)やそれら不整脈の原因となる他の心臓病の有無を調べること。

3. 治療方法

ブルガタ型症候群と診断された場合、突然死を予防できることが証明された薬剤は残念ながらありません。突然死のリスクが高いと判断された場合には、突然死を予防するために植え込み型除細動器(ICD)を植え込む必要があります。

ブルガダ症候群 Q&A

Q1. ブルガダ症候群とはどのような病気ですか?
A1. 特徴的な心電図異常(ブルガダ型心電図1型)を示し、心室頻拍や心室細動などの不整脈による突然死を起こす危険性の高い病気です。
1992年にスペインの医師ブルガダ兄弟により報告された症候群です。東アジアで多いとされ日本でも欧米に比較して多く認められており、日本におけるいわゆる「ポックリ病」の原因と考えられています。
Q2. どのような人に起きますか?
A2. 男性が圧倒的に多く(90%)、家族性(遺伝性)も一部(13%程度)認められます。
その特徴的な心電図異常は30-40歳台に初めて出現することが多く、突然死を起こす平均年齢は57歳と報告されています。
Q3. 症状はどのようなものですか?
A3. 通常は健診などでの心電図異常(ブルガダ型心電図)で偶然に発見されそのほとんどが無症状です。心電図異常を指摘され、失神や夜間睡眠時に一時的に苦しそうな呼吸をしていることを同室の方から指摘されているような場合には、心室頻拍や心室細動を起こしている可能性があり早急な受診が必要です。失神は、心臓によるものや自律神経の不調によるものなど原因は様々であり、その鑑別には専門医による問診が重要です。
突然の心停止から救命された方にブルガダ症候群が見つかることもあります。
Q4. 無症状でも受診した方が良いですか?
A4. ブルガダ症候群と診断された場合は、現在全くの無症状でも将来突然死のリスクがあります。心電図でブルガタ型を指摘された場合には、循環器専門医への受診をお勧めします。日本循環器学会や欧米のガイドラインに従って心電図の評価を行い、問診などから評価・診断を行います。診察と検査の結果、Q5に示すような重大な心臓病(心筋症や心不全など)が発見されることもあります。一度はしっかりとした診療を受けておいた方が良いでしょう。
Q5. ブルガダ型心電図を指摘された場合、注意すべき他の病気を教えてください。
A5. 各種ガイドラインに示されているように、下記の病気でも類似した心電図波形を示すことがあるため、ブルガダ症候群と鑑別する必要があります。
  • 不整脈源性右室心筋症
  • 早期再分極
  • 急性心膜炎
  • 虚血性心疾患
  • 左室肥大
  • 非定型右脚ブロック
  • 漏斗胸
  • 低体温
Q6. どのような検査を行いますか?
A6. ブルガダ症候群以外のQ5に示したような病気を精査するためにも、血液検査など一般的な検査に加えて以下の検査が基本になります。
  1. 心電図
  2. 24時間ホルター心電図検査:ホルター心電計と呼ばれる小さな測定器(本体:約5x5cm、約60g)とそれに接続して心臓からの電気をひろう電極と電線を身体の表面に装着します。 装着後は普段の生活をしていただき(運動やシャワーも可能です)、24時間心臓の電気活動を記録することにより不整脈とその発生状況を診断します。
  3. 心エコー(心臓超音波)検査
    心電図異常の原因となる他の心臓の病気の有無を確認します。心筋症、心筋炎などの他の心臓の病気や虚血性心疾患に伴って起きる心室壁の運動異常、心肥大や心不全などを診断・除外するために行います。
    その他、CTやMRI等による詳しい検査が必要になる場合もあり、その場合には近隣の病院へ紹介をさせていただきます。
Q7. どのように診断されますか?
A7. 日本循環器学会ガイドラインの基準に従って、心電図と症状・検査などによる評価を行います。

ブルガダ型心電図には1型(coved type)と2型(saddle back type)があり、1型がブルガダ症候群の診断に必須です。
2型であればその時点ではブルガダ症候群とは診断されませんが、2型は将来1型に変化することもあるため経過観察は必要です。

診断のための必須条件であるブルガダ型心電図 1型(coved type)に加えて以下のいずれかがあるときに確定診断となります。

  1. 心室頻拍や心室細動が起きていることが強く疑われる症状がある
  2. 心室頻拍や心室細動がホルター心電図などで実際に記録されている
  3. 原因不明の突然の心停止から救命されたことがある

ブルガダ型心電図1型があるが上記 1−3)がなく全くの無症状であれば、さらに詳しい検討・検査が必要になります。

ブルガダ型心電図2型であっても、家族(45歳以下)に心臓突然死をした人がいる場合や家族にブルガダ型心電図1型を指摘されている人がいる場合には薬剤負荷検査が必要になります。薬剤負荷により心電図が2型から1型に変化すると、「1型心電図あり」と判断されます。この検査を行う場合には入院する必要があります。

Q8. 治療に関して教えてください。
A8. 残念ながらブルガダ症候群を完治させるような治療法は、現在存在しません。
治療の目的は、発生しうる危険な不整脈(心室頻拍や心室細動)の抑制とそれら危険な不整脈による突然死の予防です。不整脈の抑制には、抗不整脈薬(キニジンやアミオダロン)が用いられます。 抗不整脈薬は不整脈の発生を抑制する(減らす)ことは出来ますが、完全に無くすことはできません。抗不整脈薬を服用しているにもかかわらず心室頻拍や心室細動などの危険な不整脈が発生した場合には突然死の危険性が高くなり、これらを停止させるためには直ちに(通常発生から10分以内)電気ショックが必要となります。これら危険な不整脈は前兆なく突然発症し、発症時には医療機関を受診する時間的余裕もないため(救急車を要請しても10分以内に救急隊が駆けつけられる可能性も低いため)、いつでも電気ショックが行えるよう植え込み型除細動器(ICD)とよばれる電気ショックを心臓に与えるための小さな機械を体内(胸部の皮膚の下)に植え込みが必要になります。
植え込み型除細動器(ICD)は、心臓のリズムを常時モニターし心室頻拍や心室細動が発生したことを検知した場合は、心臓に自動で電気ショックを与える機械です。

診療案内

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