期外収縮

VENTRICULAR PREMATURE CONTRACTION

概要

期外収縮は不整脈の一つで、上室期外収縮と心室期外収縮があり、いずれも最もよく見られる不整脈です。期外収縮そのものは健康な人にもよく見られ、その予後(病気に関する医学的な将来の見通し)は、もともと健康な人の場合ほとんど問題はありませんが、他の心臓に病気を持っていたりその原因や重症度によって治療が必要になる場合もあります。
予後を推定し適切な診療方針を立てるために専門医による診察と検査によるリスク評価を受けることが必要です。

診療方針

当クリニックでは日本循環器学会欧米循環器系ガイドライン最新版
およびオンライン医学テキスト「Up to Date」 に準拠します。
ガイドライン最新版(2021年8月時点)
  • 日本循環器学会/日本不整脈心電学会合同 不整脈薬物治療ガイドライン(2020年改訂版)
  • 日本循環器学会/日本不整脈心電学会合同 不整脈非薬物治療ガイドライン(2018年改訂版)
  • 日本循環器学会 心臓突然死の予知と予防法のガイドライン(2010年改訂版)
  • 2017 AHA/ACC/HRS Guideline for Management of Patients With Ventricular Arrhythmias and the Prevention of Sudden Cardiac Death

初診時の主な診療内容

1. 身長・体重測定、院内血圧測定(2回測って平均値を取ります)

問診と診察:現在および過去の健康問題や現在の症状に関して詳細なお話を伺い、心臓の聴診などの診察を行います。
検査:心電図、ABI、胸部レントゲン、心エコー、24時間ホルター心電図検査、血液生化学検査(BNP、甲状腺機能含む)、尿検査などを行います。

2. 診察と検査結果に基づき診断または状態の評価を行います。

診断に当たって重要なことは、突然死を招くような重篤な不整脈や不整脈の原因となる他の心臓病の有無を調べることです。(Q5参照
主に期外収縮が1日当たりどの程度起きているか(頻度)、危険な不整脈(心室頻拍)が起きていないか、などを調べ治療方針を決定するため24時間ホルター心電図による評価は必須です。

期外収縮は動脈硬化によって引き起こされる虚血性心疾患の早期徴候である可能性もあり、下記に挙げる動脈硬化の主なリスクに関しても評価が必要です。

3. 治療方法:評価と診断に基づき治療方針を決定します。

基本:動脈硬化の危険因子(糖尿病、脂質異常症、高血圧症、喫煙など)と基礎心疾患が存在する場合はその管理と治療は重要であり、その治療を優先します。
期外収縮に対して治療が必要と判断した場合には、薬剤もしくはカテーテル治療を状態に応じて選択します。

当クリニックで選択する薬剤は原則下記となります。

  • 第1選択薬:β遮断薬
  • 第2選択薬:カルシウム拮抗薬(非ジヒドロピリジン系)
  • 第3選択薬:抗不整脈薬

再診に関して

お薬による治療開始時には1ヶ月ごと、状態が安定してからは2-3ヶ月ごとの定期通院が必要です。

期外収縮Q&A

Q1. 期外収縮とはどのような不整脈ですか?
A1. 正常な心臓電気活動の後に続いて起きる余分な電気活動です。
心臓は、電気で動くポンプです。心臓を動かす電気は、心臓の中の発電所(「洞結節」と呼ばれます)で作られ、心臓内に張り巡らされた電線(「刺激伝導系」と呼ばれます)を伝わって心臓全体に送られ、この電気によって心臓の筋肉が収縮することでポンプとして働きます。
期外収縮は、洞結節以外の場所で異常な電気が作られることによって起きます。 心臓の上部(上室:「心房」と「接合部=電気の中継所」からなります)または下部(心室)で異常な電気が作られ、その発生場所によって上室期外収縮と心室期外収縮に分類されます。
下図に心室期外収縮の心電図例を示します。このように期外収縮は正常な心波形の直後に生じます。

心電図例

Q2. どのような人に起きますか?
A2. 健康な人にもよく見られる不整脈で、一般的に高齢になるほどよく起きるようになります。 年齢層では10代では比較的稀で20代でも少ないのですが、30-40代から増え始め50代以上では多くの方に認められるようになります。
一方、心不全や狭心症・陳旧性心筋梗塞や心筋症など様々な基礎心疾患がある人にもよく見られる不整脈です。
健康な人や基礎心疾患のない人は、期外収縮の頻度が多くなければ問題になりませんが、基礎心疾患がある場合には循環器専門医による精査と治療もしくは注意深い経過観察が必要になります。
Q3. 症状はどのようなものですか?
A3. 自覚症状として最も多いのは、動悸や脈が飛ぶ感じです。動悸に関してはこちらを参照ください。一方、無症状のことも多く、健診などで施行された心電図で偶然に発見されることもよくあります。また、血圧測定時に血圧計が期外収縮の部分を脈として感知しないため脈拍が抜けるような不整として認められることで気付くこともあります。

例 「♥、♥、♥、  、♥、♥、♥、♥、・・・」
♥がない部分が脈が抜けた箇所=期外収縮が起きたところ

Q4. 無症状でも受診した方が良いですか?
A4. 循環器専門医への受診をお勧めします。
元来健康な方の場合は問題になることは少ないのですが、診察と検査の結果重大な心臓病(心筋症や心不全、虚血性心疾患など)が発見されることもあります。
生活習慣病(高血圧症、高コレステロール血症、糖尿病)や喫煙をされている方は虚血性心疾患のリスクが高いため、心室期外収縮の出現が狭心症の早期徴候の可能性もあります。
他の病気が隠れている可能性もありますので(Q5参照)、1度はしっかりとした専門診療を受けておいた方が良いでしょう。
Q5. 心室期外収縮と関係している病気を教えてください。
A5. 散発性の心室期外収縮は、中高年以上のほとんどの人に起きていますが、心臓および非心臓の両方の特定の病気は心室期外収縮の発生頻度が高いことと関連しています。
以下に心室期外収縮を起こす可能性のある病気を挙げます。

心臓の病気

  • 左室肥大を伴う高血圧:高血圧患者における左室肥大の存在は、心室期外収縮の高い有病率と関連しています。また、左室肥大は心室期外収縮を起こす率が高く、高い死亡率とも関連しています。
  • 虚血性心疾患
  • 心不全
  • 心筋炎
  • 不整脈源性右室心筋症
  • 肥大型心筋症
  • 先天性心疾患
  • 特発性心室頻拍

心臓以外の病気

  • 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
  • 睡眠時無呼吸症候群(SAS)
  • 肺高血圧症
  • 内分泌疾患(甲状腺、副腎、性腺の異常)
Q6. 心室期外収縮誘発性心筋症とはどんな病気ですか?
A6. 心筋症とは、心臓の筋肉の力が衰えて心臓のポンプ機能が低下する病気の総称です。
症状がなくても、頻発する心室期外収縮は可逆的な心筋症と関連しています。
薬物療法やカテーテル治療で心室期外収縮を減少・消失させると、多くは心機能も正常化します。
Q7. どのような検査を行いますか?
A7. 不整脈は、心臓の電気活動の異常です。心臓の電気活動を見るために以下の検査が必須となります。

1)心電図

2)24時間ホルター心電図検査
ホルター心電計と呼ばれる小さな記録器(本体:約5x5cm、約60g)とそれに接続して心臓で発生する電気を捉えるための電極と電線を身体の表面に装着します。装着後は普段の生活をしていただき(運動やシャワーも可能です)、24時間心臓の電気活動を記録することにより不整脈とその発生状況を診断します。

その他の必須検査
心エコー(心臓超音波)検査
期外収縮の原因となる他の心臓の病気の有無を確認します。心筋症、心筋炎、弁膜症などの他の心臓の病気や虚血性心疾患に伴って起きる心室壁の運動異常や心不全などを診断・除外するために行います。

冠動脈CT検査虚血性心疾患の可能性がある場合には考慮します。

Q8. 治療に関して教えてください。
A8. 治療が必要かどうかの判断には以下の5点がポイントになります。
  1. 上室期外収縮か心室期外収縮か
    上室期外収縮の場合には動悸症状が余程強くなければ特に治療の必要はありません。頻発性の場合は、将来的に心房細動を生じる可能性もありますので経過観察が必要です。心室期外収縮の場合には以下の2)- 5)を考慮します。
  2. 期外収縮以外の心臓の病気を含め他に期外収縮の原因となるような問題があるか → まず他の病気や問題の治療が優先されます。
  3. 期外収縮の発生頻度 → 500拍/日未満は「散発性」で問題ありません。
    期外収縮の1日24時間での発生数が、1万拍以上もしくは1日の総心拍※の10-15%以上と非常に多い場合も治療が必要となります。(※ 健康な人の1日の総心拍数は約10万拍です)
    このような場合、放置すると心臓のポンプ機能が低下する心室期外収縮誘発性心筋症Q6参照)を発症し心不全をきたす危険性があります。
  4. 心室頻拍の有無
    心室頻拍があり持続性(30秒以上続く)ような場合には治療が必要となります。
  5. 動悸症状の程度
    生活に支障をきたすほどの強い症状がある場合には、薬物療法を検討します。

上室/心室にかかわらず、無症状もしくは動悸もそれほど気にならず、他の病気や問題もなく、期外収縮の発生頻度が低ければ特に治療の必要はありません。 しかし、若年性(10-20代)の場合は期外収縮が他の心臓病の早期徴候である可能性もあり、失神や労作時息切れの出現などに気を付けると共に定期診療による経過観察は必要です。

心室期外収縮の治療法

薬剤

  • 第1選択薬:β遮断薬 - メトプロロール、カルベジロールなど
  • 第2選択薬:カルシウム拮抗薬(非ジヒドロピリジン系) - ジルチアゼム、ベラパミル
  • 第3選択薬:抗不整脈薬 - メキシレチン、プロパフェノン、フレカイニド、ピルジカイニド、アミオダロンなど

カテーテル治療(カテーテル アブレーション)

薬物療法で効果が認められない場合や、基礎心疾患があり心不全をおこしている方に選択されます。

植込み型除細動器(ICD)

基礎心疾患を持っていて持続性心室頻拍を認めたり、ブルガダ症候群と診断された場合には検討する必要があります。

診療案内

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