飲酒について
「節度ある適度な飲酒」について
日本人男性を対象とした研究のほか、欧米人を対象とした研究を集積して検討した結果では、男性については1日当たり純アルコール10~19gで、女性では1日当たり9gまでで最も死亡率が低く、1日当たりアルコール量が増加するに従い死亡率が上昇することが示されています。
通常のアルコール代謝能を有する日本人においては「節度ある適度な飲酒」として、1日平均純アルコールで約20g程度です。
飲酒量の把握の仕方
お酒に含まれる純アルコール量は、「純アルコール量(g)=摂取量(ml)×アルコール濃度(度数/100)×0.8(アルコールの比重)」で表すことができます。 飲酒をする場合には、自身のアルコール摂取量を把握することで、疾病発症等のリスクを避けるための具体的な目標設定を行うなど、自身の健康管理にも活用することができます。
お酒の量(ml)だけでなく、お酒に含まれる純アルコール量(g)について着目することは重要です。
例: ビール 500ml(5%)の場合の純アルコール量
500(ml) × 0.05 × 0.8 = 20(g)
主な酒類の目安
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ビール | 日本酒 | ウィスキー | 焼酎 | ワイン | チューハイ | |
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摂取量 | 中瓶1本 500ml |
1合 180ml |
ダブル 60ml |
0.5合 90ml |
2杯 200ml |
350ml |
アルコール度数 | 5% | 15% | 43% | 35% | 12% | 19.6% |
純アルコール量 | 20.0g | 21.6g | 20.6g | 25.2g | 19.2g | 19.6g |
「節度ある適度な飲酒」としては、次のことに留意する必要があります。
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女性は男性よりも少ない量が適当である
女性は一般的に、男性より体内の水分量が少なく、分解できるアルコール量も少ないことや、エストロゲン(女性ホルモンの一種)等のはたらきによりアルコールの影響を受けやすいため、少量かつ短期間での飲酒でアルコール関連肝硬変など、アルコールによる身体への影響が大きく現れる可能性があります。 -
少量の飲酒で顔面紅潮を来す等アルコール代謝能力の低い者では通常の代謝能を有する人よりも少ない量が適当である
アルコール分解酵素のはたらきの強い・弱いは、個人によって大きく異なります。はたらきが弱い場合には、飲酒により、顔面紅潮、動悸や吐き気がすることがあります(フラッシング反応)。 長年飲酒して、不快にならずに飲酒できるようになった場合でも、アルコールを原因とする口腔がんや食道がん等のリスクが非常に高くなるといったデータがあります。 -
65歳以上の高齢者においては、より少量の飲酒が適当である
高齢者は、体内の水分量の減少等で同じ量のアルコールでも酔いやすくなり、飲酒量が一定量を超えると認知症の発症の可能性が高まります。飲酒による転倒・骨折、筋肉の減少の危険性も高まります。 - アルコール依存症者においては適切な支援のもとに完全断酒が必要である
- 飲酒習慣のない人に対してこの量の飲酒を推奨するものではない
飲酒量(純アルコール量)と健康に配慮した飲酒の仕方等について
アルコールのリスクを理解した上で、純アルコール量に着目しながら、自分に合った飲酒量を決めて、健康に配慮した飲酒を心がけることが大切です。
過度な飲酒による影響
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疾病発症等のリスク
急激に多量のアルコールを摂取すると急性アルコール中毒になる可能性があります。また、長期にわたって大量に飲酒をすることによって、アルコール依存症、生活習慣病、肝疾患、がん等の疾病が発症しやすくなります。 -
行動面のリスク
過度なアルコール摂取により運動機能や集中力の低下等が生じ、使用することで危険を伴う機器の利用や高所での作業による事故などの発生、飲酒後に適切ではない行動をとることによっての怪我や他人とのトラブル、紛失物の発生などが考えられます。
健康に配慮した飲酒の仕方等について
飲酒をする場合においても、様々な危険を避けるために、例えば、以下のような配慮等をすることが考えられます。これらにも留意することが重要です。
- 自らの飲酒状況等を把握する
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あらかじめ量を決めて飲酒をする
自ら飲む量を定めることで、過度な飲酒を避けるなど飲酒行動の改善につながると言われています。行事・イベントなどの場で飲酒する場合も、各自が何をどれくらい飲むかなどをそれぞれ自分で決めて飲むことが大切です。 -
飲酒前又は飲酒中に食事をとる
血中のアルコール濃度を上がりにくくし、お酒に酔いにくくする効果があります。 -
飲酒の合間に水(又は炭酸水)を飲むなど、アルコールをゆっくり分解・吸収できるようにする。
水などを混ぜてアルコール度数を低くして飲酒をする、少しずつ飲酒する、アルコールの入っていない飲み物を選ぶようにしましょう。飲む量に占める純アルコールの量を減らす効果があります。 -
一週間のうち、飲酒をしない日を設ける(毎日飲み続けるといった継続しての飲酒を避ける)
毎日飲酒を続けた場合、アルコール依存症の発症につながる可能性があります。一週間の純アルコール摂取量を減らすために、定期的に飲酒をしないようにするなど配慮が必要です。